小野象平のやきものに対峙する時の目は、どこか好戦的というか、セオリーやルール、誰かが引いたラインを超えた先の風景こそ見てみたいのだという欲求で渦巻いていると感じていた。
土をさらに強く、濃く、未だかつて誰もが見たことのない表情にするため、焼き物の原点に勇敢に立ち向い、万物の限界まで唸らせるために、彼は多くの時間と命を削るような思いで、土を掘り、こね、窯の火を焚き続けている。
その結果、まだ誰も見たことのない、それでいて誰しもが手に取ることのできる権利を持つ、万人に開かれたうつわが並ぶわけだが、 年を重ねるごとに、彼が仕事を重ねるごとに、そのうつわは唯一無二の存在になっていると感じる。

想像を超えた先のうつわに映る景色を、彼も私たちもこの時代も欲している。
彼が一切の妥協を許さず、日々手を止めることのない所以はそこにあるのだろう。

何かを超えるものを生み出すことは容易ではない、しかしそこに挑むものに敵うものは決してないのだと、私たちは小野象平の仕事から強く感じるのである。

2024年1月13日(土) -1月28日(日)
開催: CIBONE (表参道)

企画協力:祥見知生 うつわ祥見KAMAKURA
Photo :菅原 一樹 ( anre*f Inc. )