嘉手納重広の個展 Carpenter's WorkShopを、CIBONE CASEにて開催いたします。
今展が7回目となる嘉手納重広の展示ですが、思い返せばわたしたちは、彼の仕事の人生絵巻を見ているような気持ちにさせられます。作品の特筆点としては、手仕事から生まれる木工と、自然化学が産みだした磁力を組み合わせた作品は変わりません。
しかし、木工造形を彼のパーソナリティと置き換えると、第1回の展示から徐々に自我が芽生え、おおきな自然科学の一端と対等になり、そして今、自身の木工造形をより際立たせるための最後のしつらえとして科学技術を迎え入れている、そんな寛容さが見て取れます。それはまさに、生まれたときに手を引いてくれた存在がやがて手を離れ、他者との葛藤を幾度となく繰り返し、そして奇しくも2021年にはわたしたちはmotherというタイトルを彼の個展で付けたように、ある種の寛容さと余白の期を迎え、今に至る、そんな状況を刮目しているといえます。




